加齢性眼病変の最新の検査法と治療法

2010.05.29

区民公開講座 平成22年5月29日

薄葉 澄夫

 区民公開講座として、加齢性眼病変の最新の検査法と治療法について、講演しました。
まず、私の診療所で使用している、OCT(Optical Coherence Tomography)光干渉断層計と自動静的視野計について説明しました。

 このOCTは網膜の断層写真を撮影する装置ですが、網膜の浮腫(種々の原因で網膜が腫れる事)の状態を明らかにするとともに、網膜神経層の厚さを測定する事ができます。さらに、網膜の断層像を積算することにより、視神経乳頭や黄斑部の三次元構造を表すことができます。
この事は、糖尿病網膜症や網膜中心静脈閉塞症において、視力低下の原因の一つである、黄斑部浮腫の程度や範囲を記録する事が出来、治療の効果を判定する事が出来ると云う事です。
また視神経乳頭の三次元構造を明らかにすることは、緑内障の所見である視神経乳頭陥凹の拡大を明らかにし、視神経繊維層の欠損の拡大も明らかにする事が出来ます。この事も、緑内障治療の効果を判定する上で、重要な事です。

 次に自動静的視野計についてですが、新しい視野計は視野障害の程度を付属しているコンピューターソフトが自動で計算し、視野の増悪傾向を判定してくれます。これも、緑内障の治療効果を判断する上でOCTと合わせて用いられ、大いに有用です。

 次に最新の治療法についてですが、光線力学療法と抗がん剤の一種である、血管内皮増殖因子阻害剤について説明いたしました。

 まず光線力学療法ですが、光増感色素(ポルフィリン系化合物)を静脈注射し、色素が新生血管に集積したところで、レーザーを照射します。レーザー照射された光増感色素の作用で発生した活性酸素が新生血管細胞を破壊し、新生血管の縮小を来たします。
つぎに血管内皮増殖因子阻害剤ですが、これを眼球内の硝子体に注入することで、加齢性黄斑変性症の新生血管が縮小し、さらに、抗炎症作用と強力な血管透過性抑制作用を持っている為に、糖尿病黄斑症や網膜静脈閉塞症の網膜浮腫が軽減します。

 これらを症例のOCT像を示し、治療効果の判定を行いました。