知っておきたい子宮がんの話

2012.05.26

区民公開講座 平成24年5月26日のまとめ
子宮頸がんを中心に

順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター婦人科科長
宮﨑亮一郎

子宮にできる悪性腫瘍は、大きく3種類に大別されます。具体的には、子宮頸がん、子宮体がん、子宮肉腫の3種類です。子宮頸がんや子宮体がんは、細胞診検査を中心に発見することが可能ながんですが、子宮肉腫は、がんとは異なり子宮の筋肉内に発生することが多く、子宮筋腫と明確な区分ができず、摘出して組織を顕微鏡で検査して初めて診断されることが多い疾患です。

子宮頸がんと子宮体がんには、それぞれ子宮頸部異形成、子宮内膜増殖症など、いわゆる前がん状態を示す用語があります。これらの病名は即がんになるというものではありませんが、正しい知識と定期的な細胞診検査を行うことが必要です。

今回は、がんの中でもその原因がウイルス感染によってによって引き起こされる固形がん、子宮頸がんについて解説します。最近、子宮頸がんの原因の一つとして、イボウイルス(HPV)の感染によって引き起こされることが明らかにされてきました。子宮頸がんのおよそ7割が、発ガン性HPVの感染によって起こることが分かってきました。このウイルスは約100種類以上の型に分類されています。このうち16、18型が最も子宮頸がんと関係が深い型ですが、16型は他の型より潜伏期間が短いことが知られています。臨床的にもこのウイルスの検出が可能になり、ハイリスク群やローリスク群などと分類することが可能になり、さらに昨年から軽度・中等度異形成では型分離も可能になりました。

このウイルスは主に性交渉によって起こるとされていいます。性交経験のある女性のおよそ8割が一度はHPV感染するといわれています。健常女性の約10〜20%、若い女性(20歳代)では20.4%に、また、80歳以上の女性にも検出されることが明らかになりました。他方、男性の約60%にも検出されることが明らかにされました。

HPVの感染は、誰にでも起こりえるものなのです。

子宮頸がんは、幅広い年代の女性にみられますが、最近では20〜30代の女性に急増しています。初期には全く症状はありません。検診を受けていれば、前がん状態で発見される可能性が高く、子宮を失うことなく完治しうる病気です。

さらに、子宮頸がん予防ワクチンの接種による発がん性HPVの感染予防と、定期的な検診によって早期に発見することで、子宮を温存することが可能な病気になってきました。昨年からは、多くの自治体で小学生高学年・中学生に対して公費負担でワクチン接種が開始されたところがあります。これは性交経験のないうちに接種を行おうとするものです。個人としては、自己負担で接種することが可能な状況になりました。しかし、ワクチン接種のみでは、全ての子宮頸がんを予防することができません。正しい知識を身につけて、ワクチン接種後も1年に一度は検診を受けましょう。