子どもに蔓延しているアタマジラミ

2015.04.18

区民公開講座 平成27年4月18日のまとめ
「被害が急増しているスーパートコジラミ(薬に強いナンキンムシ)
子どもに蔓延しているアタマジラミ」

東京都豊島区池袋保健所
矢口 昇

子どもに蔓延しているアタマジラミ

 保健所へのアタマジラミ症の相談が急増しています。シラミ駆除剤が年間80万本売れている現状があり国立感染症研究所によるインターネットリサーチを利用したアタマジラミ寄生の全国実態調査では発生世帯数は約83万世帯/年と推定しています。保育所が一ヵ所しかない離島からも相談があったことからも子ども達に蔓延していると言ってもいいでしょう。

 なぜ子ども達に蔓延しているでしょうか?大人には何故少ないのでしょうか?それは子どもたちのライフスタイルが関係しています。子ども達は集団生活の中で体を寄せ合って遊ぶ・学ぶことが多く、髪と髪が長く触れる機会が大人よりずっと多いので、髪から髪へアタマジラミがうつりやすいのです。さらに、姉妹でブラシやクシなどを共用することでうつることもあります。また、子どもが一人での洗髪や、互いに姉妹で洗髪する最初の頃は、髪が十分に洗えていないことがありアタマジラミの寄生数を増やす原因ともなっています。

 アタマジラミが寄生しているか・いないかの判断は、髪の毛に卵が「ある」・「なし」によりできますので、まずは後頭部や耳の後ろ側を中心に探しましょう。卵はセメント様物質で髪の毛に固定されていますので、つまんで引っ張ると引っ掛かる感じがあります。卵は虫めがねで見ると涙の滴のような形をしています。成虫を見つけたい場合は、目の細かいクシを使い梳いてあげると成虫が捕れることがあります。アタマジラミは頭皮より吸血して生きていますが皮膚に直接寄生することはありません。6本の脚先の「はさみ」を使って、とても素早く髪の毛を鋏みながら移動することができますが、髪の毛から離れると2~3日程度で死んでしまうので髪の毛から離れたくありません。ですからアタマジラミが飛んだり跳ねたりするようなことはしませんしその能力もありません。日頃からのアタマジラミの予防として、子どもとのスキンシップを兼ね頭髪にフケの様な白い卵がついていないか定期的に観察し、疑わしきものは指でつまんで取り除いてください。アタマジラミ症だとわかったら、通常は駆除剤を使用しますが、駆除剤を使用しても、卵の抜け殻は残ります。これらを取り除かないと駆除完了の判定が難しいので抜け殻を取り除くことが必要です。

 なお、駆除剤の成分であるスミスリンが効かないアタマジラミがいます。国立感染症研究所によりスミスリン剤が効かないアタマジラミが5%確認されていますのでご注意ください。スミスリン剤が効かないアタマジラミの場合は、駆除専用の梳きクシで駆除します。梳きグシは、目がとても細かいので、前処理として丁寧なブラッシングやリンスなどをしないと子どもが痛がり手間がかかります。アタマジラミは不潔とは無関係で寄生していますが、インターネット上では不潔にしているから寄生しているなどの間違いや、寄生していないのに駆除剤を予防として頻繁に使用する(皮膚炎を起こすことがあります)など正しい知識とは言えないことも掲載されていますので、正しい知識や駆除方法の詳細を知りたい場合は、国立感染症研究所昆虫医科学部又は全国保健所長会マニュアル集にリンクされている資料を参考にするとよいでしょう。

 

スーパートコジラミ(薬に強いナンキンムシ)

 テレビなどで「スーパートコジラミ」又は「スーパーナンキンムシ」というフレーズを聞いたことがないでしょうか?トコジラミとナンキンムシは同じ虫の事ですが、正式な名前はトコジラミと言います。トコジラミはシラミの仲間ではなく、カメムシの仲間です。ご年配の方はナンキンムシ(南京虫)の名前の方がご存知かもしれません。しかし、今、被害が急増して問題となっているトコジラミはピレスロイド系の殺虫剤に強く、トコジラミに効果があると説明書に記載されていても駆除ができません。このトコジラミの事をマスコミではスーパートコジラミなどと言っています。トコジラミは寝ている夜中に出没し、露出している手や足、首などを刺して吸血します。露出していない皮膚(下着下の皮膚)は刺しませんので痒みの原因を調べる時の参考にしてください。また、初めて刺された方は最初の頃は痒くありません。何回か刺されてから初めてアレルギー反応として痒みなどが出てきます。多くの方は痒みの原因をダニ被害と思い込みダニ用の殺虫剤を使用する方が多くみられますが、ダニ用の殺虫剤ではスーパートコジラミは駆除できません。ダニ対策を繰り返しているうちにトコジラミが増えてしまい、あまりの痒さで寝ることが出来なくなることもあります。

 なお、多量に発生させた場合は、自分で駆除することが困難になります。駆除業者に頼むと2LDKで15万~50万円くらい費用がかかります。駆除経費を安くするためにはトコジラミが多量に付いている布団やベッドを自分で廃棄したり衣類の熱処理等をしなければなりません。ゴキブリ程度の害虫と考えているとひどい目に遭いますのでご注意ください。

 隠れているトコジラミを見つける方法ですが、トコジラミは吸血のため真夜中に行動しますので、眠いでしょうが夜中に起きて、手、足、首周りのシーツや布団にトコジラミがいないか探します。

 トコジラミは部屋を明るくすると素早くすき間に逃げ込みますので、時間をかけて探しても見つかりません。電気をつけたら、すぐに手足周りの布団等を確認して2~5㎜の素早く動く茶色っぽい虫がいないか探しましょう。又、トコジラミが好む潜み場所である布団やベッド周り・ふすまの隅・畳などのすき間の周辺には黒ゴマより小さめの墨色の糞をしますので、糞を探すことにより潜み場所を発見することができます。怪しい虫をみつけたら保健所に虫を持って行き確認してもらいましょう。スーパートコジラミであっても、有効成分が「プロポクスル」や「マイクロパウダー配合のメトキサジアゾン」入りの製品であれば駆除が出来ます。薬局やインターネットで購入可能です。