動悸を感じたら 危険な不整脈、心配のない不整脈

2009.06.27

吉村内科 野間 健司

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 動悸とは「心臓の打ち方が速くなったり遅くなったり、不規則になった場合に感じる違和感ないし不快感」と定義される。これは健常な人でも、日常しばしば感じることがある。激しい運動中では非常に脈が速くなり、また人前で過度に緊張した場合にも、ドキドキして動悸を感じる。健康診断でよく指摘されるものに、上室性ないし心室性期外収縮がある。これらは脈が乱れるため、動悸として自覚される。不整脈は起こる場所により、いくつかに分類される。心房を中心に起こるもの、心室を中心に起こるもの、心房心室にまたがって起こるものなどである。それらは心電図をとることで、波形の特徴からほとんど診断可能である。不整脈は頻回に起こるもの、時々起こるもの、ごくたまにしか起こらないものなどがあり、様々である。そのため問診が非常に大切である。動悸の起こりかた、止まりかた、頻度など、その特徴を聞き大体これだろうと当たりをつけて、診察、検査をすれば、多くの不整脈が診断可能である。その時には通常の心電図に加えて、圧縮波形で3分間とることで期外収縮をとらえることができる。3分間心電図でとらえられない場合は、24時間のHolter心電図が有効である。正常の心拍数は24時間で10万から12万なので、発生頻度の少い不整脈も診断可能である。さらに不整脈自体の重症度が判定できる。心エコーは心機能をみる上で重要である。心機能の悪い心臓におこる不整脈は心機能を悪化させ、悪化した心臓はさらに不整脈を増悪させる。
 不整脈の中で、洞性不整脈、右脚ブロック、上室性期外収縮などはあまり悪さをしないので、それほど心配はない。心室性期外収縮も心機能の保たれている心臓で、出現頻度も少なければそれほど危険はない。生命予後を脅かすもっとも危険なものは、心室頻拍、心室細動であり、即刻処置が必要である。また徐脈の中で、房室ブロックではしばしば突然死がみられ、危険である。発作性心房粗動は心拍数が保たれていればそれほどでもないが、2:1もしくは1:1伝導をすると非常に速い心拍となり危険である。心房細動も安定しているものはそれほど危険でないが、心機能の悪い心臓では心不全を増悪させるので注意が必要である。また合併症として脳梗塞がみられるが、心房内の大きな血栓が脳にとぶので、太い血管がつまり半身麻痺をおこし、時に死亡する。洞不全症候群は失神を起こすが、突然死は少ない。
 危険な不整脈と診断されたものは要治療である。それほど危険がないものでも、動悸、不快感など自覚症状の強いものも治療の対象となる。発作性心房細動は、たまにおこると自覚症状が強い。逆に慢性になると不整に慣れてくるので、症状がなくなることが多い。
 薬物療法として安定剤、β遮断薬に加えて抗不整脈薬が使われるが、抗不整脈薬は副作用の強いものが多いので、必要なときに必要なだけ使用し、だらだらと使わないことが大切である。最近、非薬物療法としてのカテーテルアブレーションが注目されている。WPW症候群に伴う発作性上室性頻拍は、もっとも良い適応でほぼ100%の治癒率である。.生活習慣の改善も大切でアルコールは発作性心房細動の誘因のひとつである。
 不整脈はポックリ逝く危険なものもあるが、心配のないものも多いので必要以上にこわがることはない。きちんと診断してフォローされていれば、まず心配はない。不整脈を理解して、必要な場合には適切な治療を受けて、いい人生をおくりましょう。