薬の効かないアタマジラミを作らないために・・地域で出来ること
以下は2009年5月23日に開催された区民公開講座でお話された内容を岡田先生にまとめて頂きました。
江東区医師会皮膚科医会 副代表 岡田善胤
今回の区民講座は、新型インフルエンザの流行が報道されるなか、多くの方にお集まりいただき、誠にありがとうございました。当日の講演要旨を記載いたします。
子供さん達が、安心して暮らせるように、大人が連携しなければなりません。よろしく御協力ください。以下に江東区学校保健会健康推進委員会の作成した「アタマジラミ対策」のフローチャートをお示ししますので、参考にしていただければ幸いです。
1. 発見・連絡
早期発見・早期治療が治療上最も大切です。アタマジラミがいるかもしれないと思って頭を観察してください。疑わしい時は皮膚科医に御相談ください。不潔だから感染したのではありません。一斉検診・一斉治療が大切です。(一斉検診は犯人探しではありません。)アタマジラミの感染の拡大を最小限にするための方法なので御協力ください。感染した子供さん全てが被災者ですから。
2.対応策
感染の予防・防止のマニュアルが必要ですが、現在のところマニュアルはありません。またフローチャートの「必要に応じて」の必要の内容が不明瞭なので、今後は明確にしてゆく必要があります。
現在は、治療・予防に関して学校と個人に任されている状態です。
今後実用性のあるマニュアルを作成に努める所存ですので御協力ください。
そして正しく治療してください。
スミスリンシャンプーを使用される時は、5分間シャンプーを髪になじませてください。(是非大人の方がやってあげてください。)
それが薬剤抵抗性シラミを作らないためのキーポイントです。
地肌から6mm以内の卵は、生きています。(毛の根元に産卵するため)
治癒の証明のために、卵の殻もクシ等を使って全て取り除いてください。
学校医・園医への連絡は、必ず速やかに行ってください。
3.一例でも発生したら「保健便り」を発行してください。
知らないうちに感染している病気です。注意喚起の意味でも一例でも発生したら「保健便り」の発行を是非お願いします。不潔とは無関係な病気です。頭が触れただけでシラミが飛び移ってきます。決してイジメに繋がらないよう、普段から啓発・教育が大切です。
4. 経過報告
治療中も登校を禁止する必要はありません。池袋保健所のホームページを参考に駆除を行い、治癒を確認後学校に連絡してください。
*集団感染
誰が、どのように判断するのでしょうか?情報がないのに判断はできません。一斉検診が必要です。そして、シラミが一つの施設で留まることは稀です。兄弟間やスポーツ教室等でもうつってくるので、地域で(学校・保育園・幼稚園・学童クラブ・プールや体操教室等)発生状況を共有することが重要です。
現在は、シラミが発生しているか否かを知る方法もありませんし、情報を管理している所もありません。教育委員会・保健所・医師会(学校医)・PTAの連携が必要です。是非、御協力ください。
すべては地域の子供達のためです。
大人が職域を超えて連携し、こどもをシラミから守りましょう。